なんで老けるの?
老化の原因は?
老化の仕組みってどうなってるの?
教えて!
老化の原因と仕組みがわかれば
なぜ老けるのか?の理由がわかります。
理由がわかれば、どうすれば良いかがわかります。
老化の原因と仕組みがわかれば、
食事も、運動も、スキンケアも、ヘアケアも、どうすればよいのか。
何に気をつけなければならないのか。
どれを選択すればよいのか。
正確に判断できるようになるでしょう。
現象には必ず原因と構造(仕組みやメカニズム)があります。
ただし、老化の原因や仕組みは一つに絞ることができません。
様々な要素が絡み合っています。
そして現在、老化の原因や仕組みの仮説はいくつかでてきておりますが、
決定的な「コレ!」というものはまだハッキリとしていません。
しかし、研究は日々進んでいます。
仮説の精度も日々高まっています。
これらの仮説を抑えるだけでも、アンチエイジングにおける
ツヤと快活な人生を得るためのポイント(本質)がわかるようになるでしょう。
誰かに頼ることなく自分の力で判断し、行動することも可能になることでしょう。
本記事では、老化の原因となっているいくつかの仮説をご紹介します。
その過程で老化についての理解を深めて頂ければ幸いです。
そして、老化の原因と仕組みを理解することで、
適切な選択、適切な行動につなげる土台(基礎)を固めることを目指します。
老化とは?老化の定義
その前に「老化」とはなんぞやを抑えておきたいと思います。
人を含めた生物は生まれてから死にいたるまで、常に変化が起きています。
生まれてから体が大きくなったり、筋力や免疫力や生理機能が向上し、成熟にいたるまでの変化を「成長」と呼びます。
そして反対に、ピーク時から徐々に生理機能や免疫力や筋力の低下、体が縮み、衰退し死にいたるまでの変化を「老化」と呼びます。
老化は全ての人に起こります。
そして、老化は病気ではありません。
ただし、老化によって筋力や免疫機能や生理機能が低下するので様々な病気(動脈硬化、骨粗しょう症、糖尿病、認知症、etc)を引き起こしやすくなります。
老化は平均して34歳、60歳、78歳で急激に進むと「Newsweek(2019年12月27日)」で紹介されました。
これは米スタンフォード大学の研究チームが「ネイチャーメディシン」に発表した研究論文によるものです。
本記事によると、研究チームは18歳から95歳までの4263名から得た血液サンプルを用いて血中のタンパク質を分析したところ、34歳、60歳、78歳で老化が急激に進むことが分かったようです。
参考:ヒトの老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進むことがわかった「Newsweek(2019年12月27日)」
ただし、これはあくまで平均のお話。
老化の速度に大きな個人差があることも研究でわかっています。
年齢38歳の約1,000人の男女を対象とした研究で、年齢差は1年未満にもかかわらず、「生物年齢」(biological ages)には20歳代後半から60歳代まで大きな開きがあることが明らかになった。
ニュージーランドのダニーデンで実施されている「ダニーデン研究」は、1972~1973年に生まれた1,000人以上の参加者を対象に、生まれてから現在までの健康状態を調査している画期的な縦断調査だ。
米国のデューク大学加齢研究センターのダン・ベルスキー氏、テリー・モフィット氏らの研究チームは、ダニーデン研究に参加した2011年時点で38歳だった954人の男女を対象に、26歳から38歳まで追跡して調査した。
この研究は「米国科学アカデミー紀要」に発表された。
研究チームは、18種類のバイオマーカーを調べ、参加者の老化プロセスを調査した。具体的には、「腎臓、肝臓、肺機能、代謝および免疫系の機能」、「HDLコレステロール」、「心肺フィットネス」、「肺機能」、「染色体末端を保護する役目をもつテロメアの測定」(テロメアは加齢に伴って短くなる)、「歯の健康」、「眼底の細小血管の状態」などを検査した。
これらのバイオマーカーにもとづいて、研究チームは38歳の研究参加者を30歳から60歳までに分類する「生物年齢」を設定した。その結果、参加者の生物年齢は、30歳から60歳まで幅広い差があることが明らかになった。
生物年齢は、大部分の人では暦年齢のプラスマイナス2~3年以内だったが、年齢以上に若さを維持している人や、逆に老化している人もいた。
暦年齢は38歳であるにもかかわらず、生物年齢が50歳を超えている人は、12年間に1年に平均1.2歳ずつ歳をとっていたことになる。
この研究によれば、必ずしも年齢によって「生物年齢」が決まる訳ではないことがわかります。
このことから、日々の生活習慣など環境的な要因を改善すれば、老化を抑えられる可能性があるということ。
つまり、努力次第で-10歳のツヤと快活な暮らしを手に入れることができるということです。
老化の原因と仕組み
では、老化の原因と仕組みについて見ていきたいと思います。
現在、老化の原因と仕組みの仮説はいくつかあります。
ここでは下記5つの仮説を取り上げたいと思います。
- プログラム説(テロメア説)
- 活性酸素説(フリーラジカル説)
- 糖化反応説(老廃物蓄積説)
- 遺伝子修復エラー説
- 摂取カロリー説
ちょっと専門用語がならび小難しく感じてしまうかもしれません。
できるだけわかりやすくなるように努めますのでよろしくお願いします。
①プログラム説(テロメア説)
プログラム説とは、生命の誕生から成長、成熟、老化、死に至るまで、すべての段階はあらかじめ遺伝子に組み込まれているとする説です。
わたしたちの体をつくっている細胞は、常に分裂を繰り返し新しい細胞をつくりだすことで「若さ」を保っています。(新陳代謝)
そして、それぞれの細胞には分裂できる限界がはじめから設定されており、その回数を迎えると分裂ができなくなると言われています。
※細胞分裂が停止することを「ヘイフリック限界」と呼びます。限界数は生物の種によって異なります。
ヒトの細胞の分裂限界数は約50回となっており、最長寿命は120歳。
そして、この細胞分裂を決定づけているのが「テロメア」という染色体の末端を保護する粒子です。
※染色体とは、細胞の核のことです。DNAなどの遺伝子は、この染色体の中にあります。
例えば、靴ひもの末端には、ほつれないように保護膜がありますよね。
これと似たように染色体の端っこにいる「テロメア」は、ひも状のDNAの分解や修復から染色体を保護し、物理的および遺伝的な安定性を保つ働きをします。
細胞は分裂を繰り返すたびに「テロメア」が短くなっていきます。
そして、「テロメア」が限界にまで短くなると細胞の分裂は停止し、死に至ります。
細胞の分裂が滞ると、細胞の数が減少し、数が減れば減るほど骨、筋肉、臓器、ホルモン、神経など身体を構成する組織の機能が低下していきます。
これにより、老化が進行していくというわけです。
「テロメア」は生命の回数券とも呼ばれています。
このように染色体(DNA、遺伝子)の機能として、あらかじめプログラムされていることから、プログラム説(テロメア説)と呼ばれています。
②活性酸素説(フリーラジカル説)
活性酸素説とは、私たちの体をつくる細胞の中にいるミトコンドリアが、活性酸素を産み細胞を「酸化(サビ)」させることにより、老化が進行するという説です。
ミトコンドリアとは、細胞の中の発電所と呼ばれ、酸素からエネルギーを作る働きをもっています。
私たちは、体を動かしたり食べ物を消化したり、いろんなことにエネルギーを使って生きています。
そのエネルギーを生み出しているのが、ミトコンドリアなのです。
※タンパク質に必要な「鉄-硫黄クラスター」をつくるのもミトコンドリアが担っています。
※タンパク質とは、美容や健康に欠かせない筋肉や臓器、肌、髪、爪、体内のホルモンや酵素、免疫物質の元となる栄養素です。
このミトコンドリアがエネルギーを作り出している過程で活性酸素が産まれます。
活性酸素は、体内の代謝過程において様々な物質と反応を起こします。
活性酸素には悪いイメージがつきものですが、実際は体内の免疫機能・感染防御や、細胞間のシグナル伝達、排卵・受精・細胞の分化など生理活性物質としても利用される重要な役割を担っています。
しかし、活性酸素が過剰に産生され、体内の抗酸化とバランスがとれなくなる「酸化ストレス」状態になると、タンパク質・脂質・核酸(DNAとRNA)と反応し、酸化(サビ)して細胞に傷害をもたらします。
※ミトコンドリアが産み出した過剰な活性酸素は、ミトコンドリア自らも傷つく。
活性酸素が過剰になるのは
- ストレス
- 紫外線(光老化)
- X線やガンマ線などの放射線
- 大気汚染
- タバコ(受動喫煙含む)
- 薬剤
- 過度の飲酒
- 酸化された食べもの(特にマーガリンなどのトランス脂肪酸、ファストフード、加工食品、時間のたった揚げ物、インスタント食品やスナック菓子など)
- 過度の運動
があげられます。
また、活性酸素はさまざまな栄養素と結びつき酸化させてしまいます。
細胞の傷害や、さまざまな栄養素が酸化(サビ)すると下記のような身体にとって悪いことが起こります。
- 細胞の核が損傷すると、細胞が死滅する
- 細胞膜の脂質が酸化すると、細胞で行われる「栄養と老廃物の出し入れ」がスムーズに行われなくなり衰退する
- 細胞の衰退や死滅により、骨や筋肉、臓器やホルモン、神経などの身体を構成する組織の機能が低下する
- LDLコレステロールが酸化されると、血管の老化が促進される
- 血管の老化が促進されると、血管が硬くなってしまい動脈硬化につながる
- 動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞や腎不全につながる
- 核酸(DNAとRNA)が酸化(サビ)すると、遺伝情報に狂いが生じてガン細胞が産まれガンにつながる(詳細は「④遺伝子修復エラー説」にて言及)
動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、アルツハイマー病、肝硬変、糖尿病、ガンなど。
これら生命を脅かす病気の原因に活性酸素があげられます。
そして、病気の原因の9割は活性酸素であるとも言われております。
さらに活性酸素は、ビタミンCをも破壊しますので、しみ、くすみなどの原因となるメラニンを増加させてしまうことでも知られています。
※紫外線によるシワ、しみ、くすみなどの肌のダメージは「光老化」と呼ばれ、酸化ストレスが要因と言われています。
で、活性酸素はテロメアを短くしてしまう原因になるとの説もあります。
参考:「環境因子による酸化的DNA損傷とがん,老化 : 第12回公開シンポジウム : 活性酸素の分子病態学」
ヤバいことだらけです・・・(汗)
活性酸素による酸化(サビ)は、老化を進行させる破壊力のあるものですね。
フリーラジカルとは、不対電子のことです。
すべての物質は分子から成り立っていて、その分子は原子核と電子からなる原子の組み合わせによって構成されています。
通常、分子の中の電子は2つが対をなして安定して存在していますが、その電子が対をなさず、ひとつだけ離れて存在することがあります。
このような対をなしていない電子(不対電子)を持つ原子や分子をフリーラジカルと呼びます。(単にラジカルとも呼ばれる場合もあります)
「活性酸素=フリーラジカル」と混同されがちですが、厳密に言えば、活性酸素のスーパーオキシドやヒドロキシラジカルはフリーラジカルですが、一重項酸素や過酸化水素はフリーラジカルではありません。
ラジカル(過激な)という言葉通り、電子が足りないために不安定で、反応しやすいという性質をもちます。
③糖化反応説(老廃物蓄積説)
糖化反応説とは、活性酸素説の酸化(サビ)に対して、糖化(コゲ)によって細胞が劣化する現象のことをいいます。
たとえばホットケーキは、タンパク質を多く含む牛乳や卵に砂糖を混ぜて焼くと、こんがりと褐色に変化します。
このコゲが糖化反応といわれるものです。
カラメルやクッキーなども同じ反応を起こしています。
糖は人が生きていくために必要なエネルギー源の栄養素の一つ。
しかし、食べすぎなどで余った糖質がタンパク質と結びついて糖化(コゲ)すると、変質してしまいタンパク質本来の機能が失われてしまいます。
タンパク質は美容や健康に欠かせない肌、髪、爪、筋肉、臓器、体内ホルモン、酵素、免疫物質の元となる栄養素です。
また、タンパク質はツヤを生み出すコラーゲンの元となる大切な栄養素でもあります。
そして、筋肉の元となるタンパク質は、体形維持や、筋肉低下による「虚弱・寝たきり」の防止など、快活に暮らすためにとても重要な役割を担っています。
糖化によって劣化したタンパク質のことを「AGEs(エージス、糖化最終生成物)」と呼びます。
「AGEs(エージス、糖化最終生成物)」が増えてしまう要因は、
- ストレス
- ベーコン、フランクフルト、ステーキ、バター、ポテトチップス、フライドポテトなどAGE値の高い食べ物
- 調理の際に揚げる、ローストする、焼くなどの水を使わない調理法
- ジュースや炭酸飲料、ホットケーキ、ドーナツ、クッキー、お菓子など甘いもの
- タバコ(受動喫煙含む)
- 糖尿病
などがあげられます。
「AGEs(エイ・ジー・イーズ、糖化最終生成物)」とは老廃物であり、この老廃物が皮膚の細胞に沈着すると、シミやくすみとなって肌のツヤが失われます。
そして、「AGEs(老廃物)」が毛根に蓄積されると、髪の成長を司っている毛乳頭の機能が低下し弱々しい髪の毛となりツヤとハリとコシが失われます。
また、抜け毛も進行してしまいます。
さらにメラニン色素を取り込んで髪を黒くするメラノサイトにAGEsが溜まると、メラニン色素を十分に供給できなくなって白髪の原因にもなります。
糖化反応によって生成された「AGEs(老廃物)」は、顔と髪のツヤを失わせるため、年齢のわりに老けて見えてしまうことでしょう。
これだけではありません。
糖尿病の指標となっている「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」というものがあります。
この「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」というのは、ヘモグロビンという赤血球内のタンパク質と糖が結合したものです。
「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」の数値が高いほど、高血糖といわれ、「AGEs(老廃物)」が多く生成されている状態となっています。
「AGEs(老廃物)」は骨、血管、腎臓、脳、水晶体に蓄積されていきます。
※水晶体とは、眼球の前面にあり、カメラのレンズのようにピントを合わせるモノ
「AGEs(老廃物)」は人体に下記の障害をもたらします。
- 骨に「AGEs(老廃物)」が蓄積されると、骨粗しょう症へと発展。
- 血管に「AGEs(老廃物)」が蓄積されると、血管がもろくなり動脈硬化へとつながる。そして、動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。
- 腎臓に「AGEs(老廃物)」が蓄積されると、老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われてしまうため、最終的に透析治療が必要になる。
- 脳に「AGEs(老廃物)」が蓄積されると、アルツハイマー病を発症する可能性が高まる。
- 水晶体に「AGEs(老廃物)」が蓄積されると、白内障、網膜剥離や緑内障など最悪は失明に至る。
糖尿病による骨粗しょう症、動脈硬化、腎臓の障害、脳の障害、目の障害などの合併症が起きる要因となっているのが糖化による「AGEs(老廃物)」です。
糖化(コゲ)もヤバいことだらけです・・・汗
糖化(コゲ)による「AGEs(老廃物)」は、老化を進行させるパンチ力のあるものですね。
④遺伝子修復エラー説
遺伝子修復エラー説とは、細胞の遺伝子が障害を受けたまま修復できずに組織の機能が低下し老化していくという説です。
人間の体は約60兆個の細胞で構成されています。
そしてこれらの細胞は、日々分裂したり、死んだりして1日に1兆個もの細胞を入れ替え新陳代謝を行っています。
新陳代謝を行っている過程で細胞分裂を繰り返すうちにDNAの複製にミスが起こったり、活性酸素による酸化(サビ)や紫外線などの環境要因によってDNAが損傷します。
細胞にはDNAを修復する機能が備わっているのですが、DNAの損傷が速かったり激しい場合、この修復機能が間に合わなくなったりします。
修復が間に合わなくなると細胞は、
- 休眠状態に陥り分裂を停止、増殖できなくなり新陳代謝が行われない。(細胞老化)
- 木から枯れ葉が落ちるように、体をより良い状態に保つために細胞自らが命を断つ(アポトーシス)
- ガン化
のいずれかの運命を辿ることになります。
ほとんどの細胞は細胞老化の休眠状態にいたるのですが、修復できないDNAの損傷が蓄積した細胞ではアポトーシス(細胞の自殺、プログラム細胞死)が起こります。
これにより細胞の数が減少し、骨、筋肉、臓器、ホルモン、神経など身体を構成する組織の機能が低下し、老化が進行していきます。
アポトーシス「細胞の自殺」と、なかなかインパクトのある言葉ですが、
このアポトーシスは決して悪いものではなく、木から枯れ葉が落ちるように人体そのものを守るために機能しているものです。
DNAが損傷すると細胞はガン化します。
このガン化した細胞はアポトーシスによって取り除かれ、これによりほどんどの腫瘍の成長は未然に防がれています。
それでも、活性酸素による酸化(サビ)の進行が顕著だったり、大量の紫外線、X線やガンマ線などの波長の短い電磁波、タバコなどによってDNAの損傷が激しく、遺伝子事情報に狂いが生じるとガンは成長してしまいます。
以上が、遺伝子修復エラー説です。
⑤摂取カロリー説
続いて、摂取カロリー説です。
摂取カロリー説とは、酵母菌からサルにいたるまでさまざまな生物において、摂取カロリーを制限(30〜40%)したところ、その寿命が40〜50%延長したことから述べられている説です。
※ただ、明確なメカニズムが解明されている訳ではないのであくまで仮説です。
アカゲザルにおける20年におよぶ長期的なカロリー制限研究の結果が下記のように報告されました。
計測した時点で生存していたの生存率は、
- 通常量の餌を与えたサル50%
- カロリー制限をしたサル80%
となっておりました。
さらにカロリー制限したサルでは老齢に伴う症状の遅延も見られ、特に糖尿病やガン、循環器系疾患、脳の萎縮(アルツハイマー)の発生率が減少していました。
このような霊長類におけるいくつかの研究から、人に対してもカロリー制限は効果があるのではないかと期待されています。
事実、カロリー制限効果に関連する報告が下記のとおりされています。
- 1940年の第二次世界大戦中の食糧難でスカンジナビア半島(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)の人々がおよそ20%のカロリー制限された食生活を強いられた結果、心臓病の発生率が減少した。
- その後、1980年〜2000年にいたる頃には直腸ガンの発生率が低下した。
- 沖縄の100歳以上の高齢者を対象にした研究では、低カロリーの食事が人に長寿と健康をもたらすことが示唆されている。
- アメリカで宇宙空間に移住する研究で、密閉空間のなか2年間自給自足の生活を行う過程で、食糧不足が生じカロリー制限を強いられることになった。結果、そこで生活していたメンバーの糖尿病リスクである体重、血圧、血中コレステロール、血糖値の著しい減少が観察された。
- ボランテイアによるカロリー制限研究では、6年間にわたりカロリー制限を行った18名と、通常食生活を行った18名の比較実験が実施され、結果、同様に体重、血圧、血中コレステロール、血糖値の著しい減少が観察された。
実際に、カロリー制限は加齢にともなって発生する脂肪やタンパク質、DNAの酸化(サビ)の蓄積を減弱するということが広く実証されています。
※酸化(サビ)については前述の「②活性酸素説」を参照。
ただし、抗酸化酵素の活性がカロリー制限により減少してしまうこともあることから、一概にカロリー制限することが活性酸素の増加を防ぐということにはなりません。
参考:抗老化・寿命延長におけるカロリー制限の役割(中部大学応用生物学部 細胞ストレス生物学教室)
現象だけ見れば、確かにカロリー制限をすると寿命が伸び、老化に伴う病気の発生率も下がっていることから、カロリーの取りすぎは老化につながるようです。
しかし、そこに至るまでのメカニズム(仕組み)の解明はまだ研究中のため、摂取カロリーを制限することが老化を防ぐことになるとは断言できません。
ただ、仕組みがわからなくても、食べすぎは美容や健康を損なうことは経験上知っていることなので、やはり過剰なカロリー摂取は控えた方が良いでしょう。
まとめ
以上、老化によるいくつかの仮説を取り上げました。
ここであげた仮説のうち「②活性酸素説(フリーラジカル説)」が、老化に関してもっとも有力な説として取り上げられています。
しかし、昨今では「③糖化反応説(老廃物蓄積説)」も有力な説として浮上してきています。
最近まで糖化反応が健康に与える影響は取るに足りないものだと考えられていましたが、近年の研究で実際には非常に重大であることが分かってきています。
「-10歳のツヤと快活な人生を送るためのハッピーアンチエイジング学」では、
「②活性酸素説(フリーラジカル説)」と「③糖化反応説(老廃物蓄積説)」「⑤摂取カロリー説」に対処することを重要視します。
「①プログラム説(テロメア説)」では、テロメアの伸長をコントロールするテロメラーゼという酵素があります。
しかし、テロメラーゼの活性化には、細胞老化防止の可能性と、正常細胞のガン化の一因となり個体寿命の短縮化をもたらす可能性があることの両面が指摘されており、アンチエイジングへの応用についての評価は定まっていません。
よって、対象外とします。
「④遺伝子修復エラー説」は、そもそも遺伝子にエラーが発生するのは、活性酸素が原因としてあげられます。
これは「②活性酸素説(フリーラジカル説)」で対処すればよいので、これも対象から外します。
では、次回「老化の対策」にて詳しくお話ししたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた。ツヤえもん
【参考資料】
- 抗加齢医学の過去、現在、そして未来(総論) 川北 哲也、 坪田 一男
- 老化の理論と老年医学の役割(東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座 大内尉義)
- 老化とは? 昭和大学薬学部・セリスタ(株) 佐藤和恵
- 老化研究の多面的アプローチ 東邦大学薬学部教授(薬学博士)高橋 良 哉、大寺恵子